個展を終えて


ある日、知人が私の作品(ネックレス)を身につけ、ギャラリー銀座一丁目を訪れました。その時に作品がオーナー真木さんの目に留まり、今回企画展として個展の運びとなりました。
ギャラリーによって展示までの段取りが異なるので、初めてのギャラリーは多少ナーバスになることもありますが、彼女の親しみある人柄のおかげで楽しく終えることができました。来場された方が知人に声をかけ再び来場されることも多く、これはとても嬉しいことで挫折せず!?続けてきてよかったなぁ  と本当に思います。

ギャラリーは、昭和7年に建てられた(築約80年)趣ある建物の一室にあります。現在は、店舗や約20のギャラリーが様々な展示をしています。私も何回かこのビルは訪れており、この空間でやったらおもしろそう と思っていたので、今回はタイミングがよくラッキーでした。元々住居で小さい部屋が多く丈夫な梁と柱に守られ、地震にもびくともしなかったようです。
ひとつ気になっていた事は窓がなく自然光が入らないことでした。オーガンジー(透ける布)を使用した作品も多かったので、照明のあたり具合には気を使いました。その反面、入口以外壁四面使えるので、当初思っていたより多くの作品を展示することができました。

白い箱の空間全体を考えながら作品を作ったり、どんな風に展示しようか と思うことは楽しいです。
まず初めに、『風に漂う大きい花のオブジェをこの空間に飾りたい』 と考えました。オーガンジーを幾重にも重ねたオリジナルの花は『蓮の花を連想する』と、那須塩原のお寺の住職に目を留めていただきました。本堂に飾られるそうですが、厳粛な空気漂う中できっと異なった作品に見えることでしょう。
アスパラやパプリカやレンコンのオブジェ、空柄やもり、小さいペンギンたちや花柄のカメ、カブやトウモロコシやピーナッツ・ブドウの実や蝶・葉っぱ・イスなどのアクセサリー・・ 私という親のもとから巣立って行きました。

実は銀座には思い出があります。ずっと忘れていたことですが、一週間通っているうちに鮮明によみがえってきました。
ディスプレィデザインをしていた20代の頃、銀座4丁目の三越や銀座カネボウビル(今はない)のショーウインドウのデザインを担当していました。会社の先輩は和光のデザインをしていました。
当たり前のようにやっていた怖いもの知らずの私。よかったことも失敗談もたくさんありますが、そのころ鍛えられた経験が今の作品制作や空間作りに役立ってることは間違いないでしょう。